両親

 

私は幼い頃から何となく両親が苦手だった。

 

共働きで一緒に居る時間は少なくて一緒にご飯を食べることも母親の手料理を食べることも少なかった。

祖父母と一緒に住んでいたのもあっておばあちゃんが作ってくれる料理が大好きだった。

その影響もあっておばあちゃんと一緒にご飯を作るようになって料理もできるようになった。

おばあちゃんと一緒に居る時間が長いから良く喧嘩した。

おばあちゃんがお母さんみたいだった。

辛い時苦しい時一緒に居てくれたのはおばあちゃんだった。

進路を決める時も反対してぶつかってきた。

他の人が親と経験するようなことを私は祖父と経験してきたと思う。

 

一方両親は、毎日仕事で休みの日は2人で出かけてることが多かった。

昔からスロットが好きで遊びに行っていたらしい。

月に1回私を連れて出かけてくれればいい方だった。

幼い頃はそれでも嬉しかった。

でも、中学生になってお小遣いを貰うようになって寂しい気持ちが大きくなった。

月に1万円。中学生にしては貰っていた方だと思う。お金に困ることは無かった。

小6の時からスマホを持たせられてたし、欲しいって言ったゲームや物は大体買ってくれた。

でも私が一番欲しかったのは、みんなが当たり前のように話している「仲の良い家族」だった。

 

週末には家族でBBQをしたり、旅行に行ったり、誕生日は親からサプライズして貰ったり、友達からそんな話を聞くのが苦痛で仕方なかった。

 

どうせ親なんて私の事なんかどうでもいいんだって思ってた。

 

でも二十歳になってようやく気がついた。

 

私が志望してる高校のランクを下げたいって言った時も、専門学校に入りたいって言った時も、就職せずにフリーターになりたいって言った時もいつでも祖父母を説得してくれていたのは両親だった。

 

今思い返せば、やりたいと思うことはやってみなさい、自分の進む道は自分で決めなさい、ただ、自分で決めたことは後悔しないようにしなさいって毎回言われていた。

 

二十歳になると今まで見えてなかったものが少し見えるようになった気がする。

 

親に大学に行きなさいって言われたから、就職しなさいって言われたから、バイトしなさいって言われたから。周りの友達はそうやって言うことが多いけど、私は〇〇しなさいなんて言われたことないと思う。

いつでも私が決めたことを応援してくれた。

 

今日突然お母さんに

「あんたが小さい頃から持ってるクマのぬいぐるみまだある?ちょっと持ってきて?」

って言われて渡したら

クマのお腹の中から小さいカプセルがでてきた。

中には2枚のメモ紙。

私が産まれる前に両親が書いてくれた手紙だった。

お母さんからは

「いつまでも元気で。のんちゃんの明るい笑顔を見るのがママが一番幸せになれる時です。辛い時も笑顔で頑張れ!ファイト!」

お父さんからは

「自分の好きな事はいっぱいしてもいいけれど、人には迷惑かけないでね。」

 

20年前も今も変わらないなあ。って思った。

何だか距離があるように思っていたけど、

結局私がやりたいこと出来るように支えてくれていたのは両親なんだなと気がついた。

 

今は家族3人でアイドルにハマって、移動中は必ずアイドルソング、何をしてる時もアイドルの話で盛り上がる。オタクと一緒にいる時とか同じ気分だ。友達みたいな感覚だけれどやっぱり大切だなと思う。

 

私が両親に何を返していけるか分からないけれど

自分が親になる時は子供のやりたいことを応援できるような親でありたい。